SSH課題研究発表会


2015年度課題研究発表会、2015年2月4日


 SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)に指定されている神戸高校総合理学科の課題研究発表会に参加しました。

 本務校から徒歩圏内の20分あまりですが,六甲山系の摩耶山の麓で,10分以上きつい上り坂を上ります。授業を終えてすぐに出掛けたのですが,到着した時には汗ばんでしまいました。


 神戸高校前のバス停がある交差点からも,かなりきつい上り坂があって正門に到着です。


 明治中期からの旧制中学の伝統を持つ伝統校で,校舎にも雰囲気があります。


 この鐘は・・・鳴ることがあるのでしょうか?


 講堂が会場です。講堂の前半分がオーラルセッションのプログラムが進行して,受付後は,講堂の後ろ半分でポスターセッションの発表があり,個別に説明や質疑のやりとりが出来ます。

 生徒が保護者の方々に説明しています。


 以前は,ポスターの横で,内輪で立ち話をしていたり,オーラルセッションの練習をしていたりと,あまりポスターセッションに力が入っていないような感じを受けていましたが,今回は,積極的に説明をしてくれる処が多かったです。


 課題研究の発表の前に全体説明です。

・問題を発見する力
・未知の問題に挑戦する力
・知識を統合して活用する力
・問題を解決する力

 この4つがコアになる力で,これらのコアに対してペリフェラルな力として

・発表する力
・質問する力
・議論する力
・交流する力

・・・これらの力をSSHで育むことを目指しているようです。


 総合理学科では,1年生では「サイエンス入門」があり,

・課題を見つけて探究する
・発表・質問・議論・交流する能力を育てる
・興味関心を進路に結びつける


 そして2年生の課題研究では,

・テーマの設定
・リーダー性やディスカッション能力を身につける。
・3年生で校内・校外での発表を目指す


 今年は,課題研究のテーマを,2年生の4月・5月のグループディスカッションやプレゼンテーションを通して決めたそうです。


 そして生徒の発表です。

 まず「カワムツの食性を多角的に考察する」


 カワムツとオイカワの棲み分け・喰い分けが行われる理由を解明するために,稚魚のカワムツを2群に分けて,2種類の餌料を与えて,その腸管の成長の観察を通して得た研究です。


 こどもの発表をデジカメやビデオで撮る保護者の姿が・・・


次は「学習に最適な色は?」という研究です。


 英単語を暗記する時に,英文字の色と脳波との関連性を解析することによって,暗記に最適な色を明らかにしようとする研究です。

 簡易脳波測定器を用いて,α波とβ波のデータを処理して,黒と赤が適していることを見い出していました。


 さまざまなデータ処理をしており,結構面白かったです。


 最前列が2年生,その後ろに1年生,そしてその後ろが保護者や見学者の席となっています。


「茹で時間によるビタミンCの量的変化」の研究です。


熱に弱く,水溶性のビタミンCを,効率よく摂取する方法を見つける基礎研究として,ピーマンの茹で時間によるビタミンCの量の変化を調査していました。


「破壊の科学(Distribution of Fractal)」というテーマの研究です。


破壊の結果,生まれた破片の大きさの分布に注目して,逆問題的に破壊現象を取り扱った研究です。


前半最後は「土砂災害モデルの製作」というテーマです。


 昨年の土砂災害による死亡者の多くが,広島の事故によるもので,六甲山系斜面に位置する神戸高校としても,しっかりと取り組みたいという願いからの研究です。


 休憩時間は,生徒にとってはポスターセッションでの発表が待ち受けて休憩できません。


 ポスター前で並んで,近づくと,丁寧に説明してくれました。


 後半です。「発振器の配列による指向性スピーカーの性能」というテーマです。


 超音波を応用した指向性スピーカの特徴を探り,より鋭い指向性を持つスピーカのチャレンジが研究の目的です。


「歪像画の射影変換」というテーマの研究です。


だまし絵に興味を持って,円柱アナモルフォーズをテーマとして,実像と,円柱に映った虚像との関係を計算して求めていました。


「野菜や食物でカビの繁殖を抑制」というテーマの研究です。


カビの繁殖を,野菜や身の回りにある安全なもので抑制できないか・・・を探る研究で,カビを植え付けた培地上に野菜や植物を置いて,カビの抑制効果を調べた結果,ゴーヤが効果があることが判明したようです。


「地衣類から抗生物質を見つける」というタイトルの研究です。


地衣類は菌類と藻類の共生体で,この地衣類が抗生物質を持っているどうか調べた研究です。その結果,2種類の地衣類に抗生物質としての働きが見られたそうです。


最後は「マイマイの分類には,どの遺伝子領域が有効か?」というタイトルの研究です。


マイマイの分類に際して厳格な基準がなく,これまでのミトコンドリアDNAのCOT領域を用いた例があるが,今回16sリボソーム領域を用いてマイマイの分子系統図を作成して検討した結果,COTと16sとの併用による分類が有効ではないかという結論に達したようです。


 発表の中で,はロシアの数学者であるニコライ・イワノビッチ・ロバチェフスキーの言葉を紹介していました。

There is no branch of mathematics ,
however abstract ,
which may not some day be applied
to phenomena of the real world

         Nikolai Ivanovich Lobachevsky

いかに抽象的であろうと、
いつの日か
現実世界の理象に適用されないような
数学の分野は無い。


六甲山系の山裾にあるグランド・・・背景に神戸港や海岸付近の街並みが見下ろせます。


港を見下ろした光景です。街の向こうに港とガントリークレーンが見えます。

 村上春樹の初期の作品の中の街並み・・・