課題研究発表会


神戸高校SSH課題研究発表会、2014年02月05日


 神戸高校総合理学部はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定をずっと受け続けています。平成25年度は全国で201校,兵庫県では9校が指定されており,神戸高校は兵庫県のSSHの拠点校となっています。

 2年生で課題研究を取り組んでおり,今日は,その課題研究の締めくくりとなる課題研究発表会です。来年度課題研究を受ける1年生も参加して,継承の意味もあるようです。保護者,そして卒業生でもある大学の教員もアドバイザーとして多数参加していました。

 勤務校の3時間目のCADの授業を終えて,パンをかじって・・・神戸高校のある丘の上まで足早に向かうと,到着した時には,かなり汗ばんでしまいました。


 講堂の後ろ半分が,ポスターセッションの場となっています。


生徒がポスターの前で待機して,個別に説明をします。


 いつもよりは,ちょっと外部からの来訪者が少なく,生徒の姿ばかりが目立ちます。


 ポスターの衝立の横には,実物の展示等,工夫を凝らしていました。


 講堂の前半分が,オーラルセッションの発表の場になっています。8グループが,持ち時間15分で,発表12分と質疑応答3分での口頭発表です。司会進行も2年生の総合理学部の生徒が立ち代わり・・・



 最初は,「日常生活における対立と協調 〜ゲーム理論に基づいて〜 5人のグループでした。


 ゲーム理論に基づいて,数学モデルを作成して,どのようにすれば,人々が協調するかを考えるテーマでした。


 これがモデル式です。この式に基づいて具体的に「リサイクル」に関して取り扱っていました。



 質問の中で,リサイクルは,ゲーム理論で扱うテーマとしては妥当ではないという意見があり,確かになあ〜と納得してしまいました。


 次は「防波堤の構造の違いによる消波実験」です。東日本大震災において,津波の被害が大きかったことに問題意識を感じて,被害を抑えることを目指したテーマです。


 地震発生のメカニズムから説明がはじまりました。


 地すべり型の地震に絞って,板で傾斜を作って,その上をビー玉を転がして地すべりに見立てて,堤防はレゴブロックで幾つかのモデルを組み立てて,実験を繰り返したそうです。


 次は「糖の塩基反応について 〜異性化による希少糖の生成法の模索と生成された物質の解析〜」です。

 アルカリ溶液に糖を入れると反応を起こして褐色物質が生成されるが,その中に希少な糖が含まれているので,それを取り出すことを考えるテーマです。


 実際に動画で,糖の塩基反応の様子を紹介しました。プレゼンテーションの手法はなかなか上手かったです。


 ふと見ると,保護者らしい方々が,ビデオで撮っていました。


 メタノール中で糖塩基反応を起こすと白色ゲル状の物質が生成されるそうで,そこから希少糖の析出をアレコレ試みたそうです。

 希少糖は出来たようですが,強アルカリ溶液等との分離をしないと意味がなく,結局,そこまで至らなかったそうです。


 前半最後は「自作風洞実験器を用いた空気の流れの可視化 〜紙飛行機の形状と空気の流れ〜」です。

 均一な空気の流れを生み出す風洞実験器の製作だけでも凄いです。


 吸い出し型を採用して,空気取り入れ口をハニカム構造にして,吸出し送風機には正方形の整流器を用いたそうです。

 空気の流れを可視化するために,線香の煙や湯気,スモークマシンのそれぞれを実験したそうです。

 そして紙飛行機の形状を変えて,空気の流れと飛行特性の変化を実験していました。翼の後部を跳ね上げる構造にすれば飛行時間が長くなるそうです。
 


 前半4テーマのオーラルセッションの発表が終わって,休憩時間には,講堂後部でのポスターセッションでの説明があります。先程の自作風洞実験器です。赤い紙飛行機が見えています。


 後半で発表する土壌生物に関するテーマでは,顕微鏡で採取した土壌生物を見ることができます。


 1年生も,ポスターセッションの内容を真剣に見ていました。


 そして後半です。後半の最初は「15デオキシ-Δ12,14 −プロスタグランジンJ2はトポイソメラーゼU阻害剤の抗癌作用を亢進する」というテーマです。理科の生物というよりも,薬学の専門性の高いテーマで,理科は物理T,Uと化学T,Uしか履修しておらず,生物の知識に乏しい私には難解なテーマでした。


 もちろん,高校の理科室で実験できる内容ではなくて,大学の薬学部の指導・協力を得たテーマだそうです。


次は「喫煙と肺がんとの関連性」というテーマです。実際に動物実験等を行ったわけではなくて,各種資料のデータを統計処理した内容の検討です。


 各種のデータを数学的な処理することによって浮かび上がってくる結果をアレコレ検討していました。難しい数学処理ではなくて,基本的なデータ処理ばかりだったこともあり,またグラフ等を用いたプレゼンテーションも上手くて,わかりやすい発表でした。


 次は,「土壌動物と環境」というテーマです。神戸市内各地の土壌から土壌生物を抽出して,データ処理を行っていました。


 ダニとトビムシにスポットをあてて,抽出方法や土壌の分類等,基礎基本を押さえた内容でした。


 場所による差異だけではなくて,,季節変動についても時間軸上の変化をグラフ化していました。


 最後は,「神戸市近辺に生息するハナダカダンゴムシのDNA解析」です。

 一般に日本で広く見られるのはオカダンゴムシだそうで,ハナダカダンゴムシは1998年の神戸と横浜で発見されて,国内では希少なダンゴムシだそうです。


 説明は,ダンゴムシについての一般的な内容から丁寧な説明がありました。


 神戸市内でも,分布は限られているそうです。DNA解析を行って,由来を追跡して,仮説を立てていました。すくなくとも神戸で採取したハナダカダンゴムシの塩基配列は同一で,起源は同じだそうです。


 ポスターセッションとオーラルセッションの課題研究発表は,なかなか興味深い内容が多かったです。研究内容も,プレゼンテーションの方法も,高校2年生としては,どれも抜きん出ていました。原稿を読み上げるタイプの口頭発表はなくて,しっかりと練習も積んでいるようです。ただ,質疑応答では,差があったように思います。



 本務校と違って,校舎内部は落ち着いた感じで,建物としての光の取り入れ方も凝っています。


 一階のエントランスです。良い感じの空間です。


 摩耶山を背にした高台に位置しており,グランドからは,港や遠く阪神間の街並みを見下ろすことが出来ます。


 初期の村上春樹の作品「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」に出てくる町並み描写は,この景色を見た印象もあったのかもしれません。


 摩耶山の麓にある神戸高校の最寄駅は,長い坂を挟んで,ほぼ真南にある阪急王子公園駅です。結構距離があります。


 三宮まで阪急電車に乗ったのですが,「三宮駅」が「神戸三宮駅」になっていました。ニュースでは駅名が変わったことを聞いていましたが,普段阪急電車に乗ることがないので,初めての「神戸三宮」でした。