課題研究発表会


神戸高校 SSH(スーパーサイエンスハイスクール)
総合理学部 課題研究発表会、2013年2月20日


 神戸高校総合理学部の課題研究発表会に参加しました。SSH(スーパー・サイエンスハイスクール)の指定を受けて、2学年で課題研究が設定されており、今日はその締めくくりの発表会です。来年度課題研究を受ける1年生も参加して来年度への継承の意味もあるようです。

 勤務校を11時半過ぎに出て、徒歩で向かいました。阪急電車王子公園駅から北の坂道…六甲山系の山の麓の建物が神戸高校です。昼から晴れて、坂道を20分ほど早足て歩いていると、コートを着ていたこともあって汗ばむほどでした。



 勤務校の校舎が、駅の近くの住宅地の中にある直線を活かした打ちっぱなしのコンクリートのような仕上げなのに対して、神戸高校はモダンな感じで仕上げた校舎で、高台の上の立地条件…雰囲気に違いがあるよう感じます。


  講堂では、前方がプレゼンテーションを聴く椅子が並べられて、その後方にポスターセッションの展示が準備され、生徒が説明をしてくれます。始まるまでの間、幾つかの説明を受けて、質問にもちゃんと答えてくれました。



 このような評価シートを渡されました。8点の観点(尺度)を5段階法で回答するもので、この評価が一番高かった研究テーマが、SSHの全国大会で発表されるとのことです。私も真剣に評価をしました。



 1番目の発表が「神戸周辺に生息するマイマイ属ミトコンドリアDNAの系統解析」で4名のグループでした。

 神戸近隣でカタツムリを採取して、ミトコンドリアDNA のCOT領域をPCR 法で増幅し,シークエンスによりその塩基配列を比較することで,神戸市とその周辺に生息するカタツムリの近縁関係を示す分子系統樹を作成したそうです。



次は「神戸市内におけるタンポポの生育実態に関する研究」で6名のグループでした。

 神戸市内の数ポイントでタンポポを採取して、在来種のカンサイタンポポと外来種のセイヨウタンポポやアカミタンポポなどを調査して、その結果ををもとにして個体の種の特定および雑種化の有無の判定、更に種間における外部形態の関連性などを報告していました。



 ポスターセッションで、事前に説明を聞いていたこともあって、わかりやすく感じました。なかなかプレゼンテーションが良かったグループです。



 その次は「放射線が免疫に及ぼす影響」で3名のグループでした。

 福島原発事故の影響で放射能への関心が高まっていますが、放射線が生物に与える影響について、まだ解明されていないことがたくさんあることが研究の原点だったそうです。、マクロファージに、放射線(X 線)を当て、マクロファージの貪食作用を調べることによって放射線の影響を調べた報告でした。



 これもポスターセッションで、事前に説明を聞いていました。放射線を扱う実験なので、神戸薬科大学でデータをとったそうです。



 次は「ヒト腎癌細胞に対する抗癌剤の効果」で、4名のグループでした。

 腎がんが化学療法に対し抵抗性を示すことに問題があり、生体外(インビトロ)において抗がん剤を適用させた場合に腎がん細胞が低感受性を示すのかを、クロマチン凝集の測定やMTTアッセイを行うことで抗がん剤の腎がん細胞に対する効果を調べた報告です。



 これはポスターセッションで、事前に説明を聞いていなかったので、ちょっとわかりにくかったです。薬学や生物について、2年生の段階で、しっかりとした知識を持っていました。



 前半の部の最後は「日本列島はどのように折れ曲がったか」で、3名のグループでした。

 本州の中央部にあるフォッサマグナは、2000万年前に始まった日本海の拡大による応力で日本列島に相当する部分がユーラシア大陸から離れ、折れ曲がり、南西日本と東北日本に分裂したそうで、そのフォッサマグナがどのように形成されたのかを、糸魚川市での現地調査とアナログ実験によって検証した報告です。



  コンピュータシミュレーションが多い中、アナログ実験での検証は、大変新鮮でした。



 これが、そのモデルです。



 前半と後半との間の休憩時間にも、ポスターセッションでの説明と質疑応答がありました。保護者の方も熱心に聞いていました。



  後半は、2つ、「数理モデルによる選択の科学」が続きました。1つ目は「冒険するという選択の必要性」で4名のグループ。そして2つ目は「周囲を考慮する必要性とその最適範囲」で3名のグループでした。



  その次が「立ち上がり動作の動力学的分析」で 6名のグループでした。

 椅子からの立ち上がり動作という日常動作において、立ち上がりの動作の傾向を把握するために、ハイスピードカメラを用いて撮影した動作映像をもとに解析を行った報告でした。


 実際に、「立ち上がり動作」を体験してもらうために、その場で皆さんに立ちあがってもらって体験させませた。私も…



 力学的エネルギーや関節モーメントを指標とし動作の効率や負担を解析して、頭の位置で差異が出るとのこと、壇上で見本を見せた後で、皆さんに体験させました。



 最後は「自律型ロボットの制御プログラムの考察と検証」で7名のグループです。理学というよりも工学寄りの研究です。災害救助用ロボットのモデル作製を行って、実際に台車とプログラムを研究して、ライントレース、障害物の回避、アームの操作をビデオ映像で流しました。



 講堂の椅子に学校名がプリントではなくて刻印されていました。また4脚の椅子が連結されていました。



 課題研究報告会が終わった頃、グランドでは部活…グランドの向こうには、眼下の神戸の街、港、大阪湾、そしてその向こうに大阪も見えます。



  勤務校は、周りがマンションやビルで囲まれていますので、グランド越しに見下ろす神戸の街や港や海に、ちょっと新鮮な気分を感じました。



 この坂道を、また20分下りました。

 今日は、三宮駅から勤務校まで30分歩いて、そして神戸高校まで坂道を歩いたので、帰宅後の活動量計が「13028歩」8.7kmでした。