坂越・室津


2013年2月3日


  寒さが緩んだ日曜日、赤穂市の坂越(さこし)とたつの市の室津(むろつ)を訪れました。

 昨年の秋に、備前市の日生(ひなせ)を訪れた時には、ちょうどオリーブ祭の日で、オリーブ園に車で乗り入れが出来ませんでした。今日・2月3日は、ちょうど「赤穂かきまつり」の日で、山陽道は、赤穂IC出口で1キロ渋滞と、まるで赤穂浪士討ち入りに日のような混雑ぶりで、「赤穂かきまつり」の会場の県立赤穂海浜公園附近は大渋滞でした。そして国道250号線も坂越の手前の山道から渋滞…幸い、有年から千種川沿いの県道90号を通ったので、渋滞に巻き込まれずに済みました。

 赤穂は、古くからの城下町ですが、赤穂の町は鉄道の開通に反対で、山陽線は、赤穂を避けて開通しました。赤穂の町の人々は、結局、7〜8キロ以上千種川の上流にある山陽線有年駅が最寄駅となって不便を強いられ、結局大正時代には、有年と赤穂の間に赤穂鉄道を開通します。その時の駅は、有年、高雄、坂越、そして赤穂です。その線路跡は、県道525号として残っています。

 高雄の北側に周世という区域があります。後に此処にも赤穂鉄道の周世駅ができましたが、現在は東西に山陽新幹線が通っています。私の好きな光景が広がっています。



 県道90号を千種川沿いに下ると赤穂の手間で坂越の町に至ります。坂越浦から、高瀬舟の発着場があった千種川まで続く「大道(だいどう)」と呼ばれる通りは石畳で、両脇には古い町並みが軒を連ねています。


 坂越の旧家である奥藤家の酒蔵・奥藤酒造です。白壁の蔵の2階は奥藤酒造郷土館です。



 石畳の街並み…何枚も写真を撮ってしまいました。



 坂越浦の沖の坂越湾には、天然記念物の生島(いくしま)が浮かんでいます。古来より神域として人の立入が禁じられてきたため、原始の森が保たれており、生島樹林(いきしまじゅりん)として大正13年12月9日に国の天然記念物に指定されています。



 この島には秦 河勝(はた の かわかつ)の墓があります。河勝は秦氏のリーダで、聖徳太子のブレーンとして活躍したそうです。聖徳太子より賜った弥勒菩薩半跏思惟像は京都・太秦(うずまさ)の広隆寺に安置されています。

 河勝は猿楽の創始者祖であり、観阿弥・世阿弥親子も河勝の子孫を称しています。楽家として知られる東儀家は河勝の子孫と言われています。



 秦河勝を祭神とする大避神社です。坂越の町の中に溶け込んでいます。



 大避神社は、千種川流域を開墾したとされる秦河勝が大化3年(647年)に没し、地元の民がその霊を祀ったのが始まりとされています。



 大避神社は、秦河勝の墓がある生島を見下ろす坂越の丘の上にあります。



 現在の本殿は明和6年(1769年)、拝殿と神門は延享3年(1746年)に再建されたものだそうです。 拝殿両脇の絵馬堂には40余りの絵馬が揚げられており、中には享保7年(1722年)のものもあり、日本で最も古い船絵馬として貴重なものといわれています。



 その絵馬堂です。たくさんの絵馬が…古いモノは、消えかかっています。



 文字が消えかかっていますが、絵馬の左下に「文久2年」とあります。幕末の1862年の絵馬です。



 これは明治38年の絵馬です。色は、ほとんど抜けてしまっています。



 樂祖・秦河勝 後裔の方が奉納した絵馬です。15年前・・・



  1年半前に奉納された絵馬・梅原猛の新作能「河勝」の奉納記念の絵馬のようです。



  大避神社の脇には、坂越小学校跡地と坂越城址があります。坂越城址の坂越湾を見下ろす丘の上の木…



  その後、赤穂御崎へ向かいました。この辺りは赤穂温泉の宿がいくつもあります。また景色も良いです。



 県立赤穂海浜公園附近の赤穂牡蠣祭りの渋滞を横目に、国道250号線を東に向かって、室津へ…

 室津は、牡蠣の買い出しに来る方々でいっぱいでした。それぞれの直売所では、店頭の「牡蠣の試食」の長い列ができていました。私も列に並んで焼き牡蠣を試食しました。



 焼き牡蠣は、外国の方が焼いていました。



 牡蠣以外にも、いろいろな海産物が…



 室津・・・約2000年前に神武天皇の東征先導役が室津に港を建設したといわれている古い港です。藻振ノ鼻(室津半島先端部)と金ヶ崎で囲まれた室津湾の、更に奥にあることから、「室の如く静かな津」ということで「室の泊」と呼ばれたのがその名の始まりのようです。



 播磨国風土記には、「コノ泊、風ヲ防グコト室ノゴトシ 故ニ因リテ名ヲナス」と紹介されており、奈良時代には行基によって「摂播五泊」の一つとされ、海上と陸上交通の要衝として「室津千軒」と呼ばれるほど栄えていたようです。。



 江戸時代になると、参勤交代の西国大名の殆どが海路で室津港に上陸してそれから陸路を東に進んだために、港の周辺は日本最大級の宿場だったそうです。宿場には通常、1〜2軒の本陣がありましたが、室津には6軒もあったそうです。



 室津の町は、細い路地で、その両脇に古い町並みが残っています。



  室津旧市街地は兵庫県の景観形成地区に1994年指定されています。



 坂越と同じで、ここも石畳の道です。



 室津の旧市街地の道はかなり狭いです。



 室津港は、活気がある港で、特に今のシーズンは牡蠣の時期ということもあるのかもしれません。



 お昼過ぎには、春先のような気候でした。

 今日は節分、本来ならば、もっとも寒い時節です。