馬込教会


伊王島、2012年8月24日


 黒崎を後にして、西彼杵半島の西海岸・外海を国道202号線沿いに南下、しばらくすると畝刈・三重地区に移転した新長崎漁港と水産工場群が現れました。その後長崎湾を横切るヴィーナスウィング(女神大橋)を渡って、長崎の市街地をバイパスして国道499号線を南下して香焼を経て伊王島大橋を渡って伊王島へ。  現在は、長崎のリゾートホテルが長崎の街に面した東海岸に立ち並んでいます。



 以前に伊王島を訪れた時は、橋がなく、大波止場から船で伊王島に向かいました。(伊王島大橋の開通は平成23年(2011年)今も長崎の大波止場とは船の便があります。香焼を経て伊王島大橋を渡るよりも、大波止場から船に乗った方が早いかもしれません。


 伊王島は、以前は炭鉱の島でした。昭和18年(1941年)に炭鉱が開鉱して、最盛期の昭和37年(1962年)には町制に移行し、人口が7300人だったそうです。昭和47年(1972年)には炭鉱が閉山しましたが、今はリゾートアイランドとなっています。



 伊王島(正確には沖の島)に、馬込教会・大天使聖ミカエル天主堂があります。



 まだキリスト教禁教だった明治4年(1871年)に「椎山小聖堂」と称する木造瓦葺きの会堂が沖の島の馬込地区に出来たのが馬込教会の発端のようです。その後明治23年(1890年)にレンガ造りの本格的天主堂が建設されましたが昭和2年と昭和5年に続いた台風により尖塔が倒壊してしまったそうです。昭和6年(1931年)に台風にも耐えられるよう鉄筋コンクリート造りのの教会堂が建てられ、これが現在の天主堂です。



 漆喰壁の天主堂で、階段を登った正面中央に大尖塔(鐘塔)があり、その左右に小尖塔、各尖塔の四周には更に尖塔状のオブジェ等があります。



 山田洋次監督の映画「家族」は、この伊王島が舞台となっています。伊王島の炭鉱夫が、北海道での酪農・開拓に向かう列車と青函連絡船の旅がメインの映画で、伊王島から中標津までの1週間ほどの間に家族5人のうち2人を失うというスト―リーです。東京の上野で娘を亡くした後の回想シーンで、馬込天主堂での結婚式の場面がありました。



 映画の冒頭で、伊王島を旅立つシーンで始まるのですが、、伊王島から北海道の中標津に向かう家族の出発を、この馬込天主堂の神父が見送るシーンと同じ構図の写真です。



 海の向こうが長崎の街、連絡船で20分ほどの距離です。



 リゾートアイランドとしてリゾートホテルや施設が立ち並ぶ東海岸は道路が整備されていますが、天主堂の近くの馬込地区は、丘の山腹に住宅地が立ち並び、軽自動車がやっと通れるような道しかありません。



 尾道の街のように、階段と狭い径が住宅地の中を張り巡らされています。これらが生活道路のようです。



 伊王島は島内の人口の6割がカトリック信者だそうで、馬込教会と大明寺教会の2つの教会があります。