切支丹資料館


平戸・根獅子、2013年8月23日


  根獅子の浜の近く、キリシタンの聖地・「うしわきさま」の脇に平戸市切支丹資料館があります。



 昭和56年に、当時の平戸市長・山鹿光世氏が「謂われなき罪で殉教した人々の鎮魂の祈りの場」と願って、カクレキリシタンの里・根獅子浜久保に切支丹資料館を建設したそうです。


 資料館では、根獅子地区だけではなくて、広く長崎県内の隠れキリシタンに関する資料を収蔵・展示しています。

 私が、カクレキリシタンの方々の信仰に興味を持ったのも、そして遠藤周作の作品を読みだした切っ掛けとなったのも、以前にこの資料館を訪れて、納戸神の前に佇んだことがトリガーとなりました。20年以上の時を隔てて、再び、その納戸神を目にすることが、今回の長崎行きの大きな目的でもありました。



 前日に、生月島の「島の館」にあったカクレキリシタンの展示室にもあったキリシタン禁教の高札です。



 日繰帳(教会歴)と、木製の「マリア観音」です。



 合金製の「マリア観音」と死者に土産として持たせた「バスチャン様の椿の木」〜聖杯の断片〜です。これは外海のもののようです。



 オラショです。



 これもオラショを書き写した断片です。



 キリシタンの教えの略である、聖教初学要理です。これはカクレキリシタンの方々に対してプチジャン神父(長崎の大浦天主堂で、信徒発見に立ち会った神父)が編纂したカトリックの再教育のためのカトリック教理の入門書です。慶応4年(1868年)に木板として出版されたものです。



 そして納戸神です。納戸神の掛け軸(絵)は撮影禁止なので、遠くの斜めから、展示の光景として撮影しました。



 切支丹資料館の隣・浜側には、こんもりとした杜があります。ここは根獅子のキリシタンの聖地「おろくにん様」(うしわきの森)です。



 うしわきの森の謂われ…

 「ある夫婦とその女の子三姉妹の前に、、一人の男の子が現れた。家族は、その働きぶりに感心し、長女の婿に迎えた。子をなし、もう大丈夫と思って「一家がキリシタン」と告白した翌日にその男は姿を消し、キリシタン取り締まりの役人に、一家は捕えられてしまった。一家は両親はじめ、長女のお腹の子を含めて6人が(おろくにん様)根獅子の浜で処刑された。遺体は海に捨てられたが、村人達は遺体を拾い、この森に手厚く埋葬、言ったうを聖地として敬った。」

 旧暦8月26日が命日だそうです。



 杜の中は、静かでした。



 これが「うしわきの森」の全景です。